ニセモノの白い椿【完結】
「雪野さん、ありがとう。それと、泣かせちゃってごめんね」
雪野さんが何度も頭を横に振る。
別れ際に雪野さんが言った。
「私は、それでもまだ信じています。それが運命なら、糸は切れない」
それに微笑みだけで返した。
ごめんね、雪野さん。
私は、最初から決めていた。必ず木村の背中を押そうと。
それが、木村の傍にいると決めた自分に課した約束だから。
今度は、木村と向き合う番だ。
考えた末に、金曜の夜に伝えることにした。
理由は簡単。次の日が仕事が休みだからだ。
(木村さんとは、もう終わりにしたいと思ってる。きちんと話をしたいから、今日、木村さんのマンションで待っています)
定時を過ぎてから、そうメールを送った。このメールを読むのは仕事を終えた時だろう。
”話があるから”と送ろうとして修正した。
いつもみたいに喜んで帰って来る姿なんて、もう見たくない。
気付けば季節は秋に移り変わっていた。