ニセモノの白い椿【完結】
(うーん。そうだね。それはもちろん、普通の子を連れて来た時よりは身構えちゃうかなぁ。本音としてはね)
「まあ、そうだよね。普通……」
私、この期に及んで、なんでこんなことを聞いているんだろう。
(母親にとっての息子って、ちょっと特別って言うか……。って、こんなことお姉ちゃんに言うのは親として間違ってる?)
相変わらずの呑気さ。そんな人を責める気にもならない。
「別にそんなの知ってるし。今更だよ」
(奥さんになる人に息子を取られるっていう気持ちは多かれ少なかれあるから、余計に、なんでうちの息子がわざわざって、他にいくらでも女の人はいるでしょうって思っちゃうかな)
おいおい……バツイチの娘に言うことかな。
でも、それは本音のなのだろう。
こんなこと改めて思い知ろうとするなんて。これじゃまるで、一生懸命迷いを振り切ろうとしているみたいだ。
迷いはないって、思ったそばから私は一体――。
(でも、それは本音の部分で一瞬思うだけで、最後はやっぱり眞が連れて来た子ならいいかなって思うな。それに、椿が離婚したからかもしれないけど、離婚にもいろいろあるって分かるしね。もちろん、離婚に至るのはどちらかだけが悪いということはない。でも、一度の失敗がすべてじゃないでしょ? そういう経験をしたからこそ得たものもあるはず。そう冷静に考えれば、離婚したことが悪いことだけだとは思わないわ)
思いも寄らず、母親が真面目なことを言っている。
(むしろ、そういう人を選んで幸せにしてあげたい、なんて眞が思ったとしたなら、なんだかロマンチックでステキねー)
――と思ったら、やはり相変わらずの母だった。
「とにかく、眞のお嫁さんが沙都ちゃんで良かったね」
(そうねー。お母さんも、沙都さん大好き)
母の言葉に思わず、しんみりとする。
そう思ってもらえることが、何より皆が幸せになれる。沙都ちゃんも、両家の親も、眞もーー。
「そりゃあ、沙都ちゃんは最高レベルだよ」
大丈夫。私は間違ってないーー。
自分の胸に手を当てる。
(椿だって、最高よ。誰がなんと言おうとね)
母親がすぐさまそう返してきた。
「はいはい。そりゃ、どーも」
(椿だって、幸せになっていいんだからね)
呑気かと思ったら、何を言っているんだか。
一瞬涙が出そうになったじゃないか。
「はいはい。じゃあね!」
こんなところで泣くわけにも行かず、慌てて電話を切った。