ニセモノの白い椿【完結】

「――あの、生田さん」

木村と白石さんの会話が続く横で、ずっと黙ったままでいた立科が少し声を抑えて話掛けて来た。

「はい」

「生田さんって、どの辺に住んでるの? 一人暮らし? それとも実家?」

フォークを手にして、私の様子をうかがうように問い掛けて来る。

「一人暮らしです」

「そっか、一人か……」

ひとり言のようにそう言うと、改まるようにしてまたも立科が私を見つめる。

「……生田さんって、今、お付き合いしている人とか、いるの?」

突然だな。
いきなり核心に迫るようなことを……。

無駄な時間は使いたくない、ということか。

「今は――」

嘘をつくのもどうかと思うので、正直に答えようとした。

なのにーー。
今の今まで白石さんと話していたはずの木村が、またも言葉を挟み込んで来た。

「おまえはいつもいつも、すぐにそういうことを女性に聞くな。だから、手が早いなんて陰で言われるんだよ」

白石さんと話していたんじゃないの?

どうして、こっちの会話の内容が分かっているのだ。
でもそのこと以上に、木村の発言に驚いた。
当然のごとく、立科さんが怒りをあらわにした。

「おまえっ! 何、言ってんだよ。勝手なことを言うな!」

私と立科さんの会話を聞いていたのならなおのこと、立科さんを貶め妨害するようなことになる発言だと分かっているはずなのに。

「勝手なこと? おまえが手が早いことなんて誰もが知ってるよ。ただ、生田さんはここに来たばかりだ。知らないだろうから、教えてあげた方がいいかと思ってね。ああ、でも。生田さんは、そんなことを聞きたくなかったですか? それでしたら、余計なことをしました」

「い、いえ、大丈夫です……」

他人のような顔で、それでいてまくし立てる木村に、言葉に詰まる。

木村の考えていることがまるで分からない。

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