ニセモノの白い椿【完結】
「それはやっぱり、生田さんがいろんな人生経験をしているからだと思うんです。辛い経験も乗り越えて、だからこそただ綺麗なだけじゃない、大人の魅力も併せ持った、こんなに素敵な女性なんだと思うんです」
何が言いたいんだ――?
隣の席に座る、何故か得意げな女子にただ疑問が募る。
「えっ? 辛い経験って、何?」
立科さんが私を探るように見つめて来るが、白石さんが言おうとしていることが分からないから、曖昧に微笑むことしか出来ない。
「生田さん、離婚を経験されているんですって。こんなに綺麗な人でも、人生っていろいろあるんだなって。でも、そんなことを感じさせない大人な方で。私、本当に生田さんを尊敬します」
そう言いながら、白石さんの視線は完全に木村に向けられていた。
その情報を敢えて出して来たのは、立科に情報提供するためだけじゃない――ということか。
「……そうだったんだ。驚いた。なあ、木村」
木村に同意を求めたようだが、木村は難しい顔をして押し黙ったままで何も言わなかった。
「でも、俺、そういう過去、全然気にしないタイプだから。むしろ、大人の女性って感じで魅力倍増です。大人と大人の関係が築けそうだ」
さっきまで、慎重で遠慮がちだったくせに、”離婚歴”があると聞いた瞬間に、立科の態度が変わる。
大人と大人の関係が築けそう――って、何言ってんだ、こいつ。
離婚歴があるなら、そう簡単に結婚を迫って来る可能性も低い。遊ぶにはちょうどいい女だとでも思ったか。
「そうですよね! でも、それでいて30代にも見えない。美しいオトナの女性って感じで。生田さんの隣にいたら、25の私なんて、ただの子どもでしかないです」
うるさいわ。
さりげなく人の年齢晒して、自分の若さを強調してるんじゃないよ。