ニセモノの白い椿【完結】
「自分じゃ分からないことや気付けないことって、ありますよね。むしろ他人の方がよく見えていること。違う角度から見るから分かることがある」
木村の奴、何、言ってるんだ。非常に回りくどい。
「二人とも、思い込んでいるだけで、実は別の正解があるのかも。俺から見たら、立科と白石さんの方が物凄くお似合いだよ。二人が結び合えばいいんじゃないかな。後は、二人でよろしくやってよ。じゃあ!」
立科さんは、口を開いたまま固まって、白石さんは呆然として。
私は、他人事ながら、少し二人が気の毒にもなる。
それにしても、木村――。
この日の木村が、理解できない。
気付けば、レストランの外に連れ出されていた。
「ちょ、ちょっと!」
外に出て、やっと木村に声を掛けることが出来た。
「何?」
とぼけた顔で振り返る。
「『何?』じゃなくて。一体、何なの?」
「とりあえず、早く行こう!」
「行くって、どこに?」
慌てる私の腕を引いて歩き出した。
店内に残してきた二人が気にはなりつつも、その腕に引かれて行った。
連れて来られた場所は、あの、バーだった。
「やっぱり、ここが落ち着くよね」
マスターに挨拶をすると、以前と同じ、店の奥のテーブル席に木村が腰掛けた。
「――ねえ、一体何考えてるのよ」
仕方なく向かいの席に座る。
「あの食事会、楽しかった?」
「楽しくは無いけど」
「あなたは、楽しくもない時間を無理に過ごす必要はないよ」
木村の言葉に、思わずその顔を見た。