ニセモノの白い椿【完結】


本当に、面倒くさい小娘だ。
私が木村のことをどう思っているかどうかなんて、私には答える義務はない。

どうして、若い子って、自分を中心に世界が回っていると思うんだろう――。

と思って、自分の中で訂正する。

”若い子”だと一くくりにしてはいけない。そうじゃない子もいる。
すぐに”若い子は”なんて思考になっている自分にげんなりする。
それこそが、自分が若くない証だ。

それにしても、面倒な小娘がすぐ近くにいるのは事実。

これからは、少し木村との接し方を考えないと――。

どこでどう、知られてしまうか分からない。

そして、もう一人の面倒な人。それは立科さんだ。

顔を合わせたくないと警戒していたが、運良く見かけずに済んだ。営業だから、外回りに忙しいのかったのかもしれない。


それからすぐにゴールデンウィークに入り、独り身が沁みる長期休みをなんとかやり過ごしていた。

節約に節約を重ねているから、アパートの部屋は未だがらんとしたまま。
折り畳み式のテーブルと、三段のカラーボックス。ある家具と言えばそれだけだ。
畳敷きの部屋の真ん中にあるテーブルを前に、一人寂しく三食を食べた。

結婚していた頃は、料理には特に気を使った。
品数も内容も、十分なほどに準備して。毎日毎日、せっせと温かい手料理を作っていた。

美味しいと、喜んでくれているとばかり思って――。

ああ、嫌なことを思い出した。
今じゃ、まったく料理なんてしなくなった。一人になって、食事なんて適当に済ませられればいいと思っている。

やっとのことでやって来た連休最終日。
また食事の時間がやって来た。

夕方を過ぎ空も暗くなった頃、アパートを出てコンビニへと向かう。

夕飯調達のためだ。

昨日は蕎麦を買ったな……。今日は、何にしよう――。

コンビニに陳列されている棚を脳内で再現してメニューを決める。
そしてコンビニ着いた頃には買う物をほぼ決めていた。

誰かが待っているわけでも時間がないわけでもないのに、コンビニ滞在時間はかなり短い。

デミグラスオムライス弁当を手にして、レジに並ぶ。
2,3分後にはコンビニの外だ。

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