ニセモノの白い椿【完結】
――はぁ。それにしても、人様(それも男)の家のお風呂は、入るだけで緊張する。
バスタブに顔を半分埋めながら、ぶくぶくと息を吐く。
誰に見られているわけでもないのに、妙に落ち着かなくて。
『鍵が閉められるから、安心して入ってください。いつでも好きな時に入ってくださいよ!』
そんな風に送り出されて、入浴させてもらっている。
確かに、一緒に暮らす以上、お風呂は欠かせないわけで。いちいち気にしてもいられない。
だいたい、このバスルームの広さはなんだ。ユニットバスじゃない、タイルが敷き詰められたバスルーム。ご丁寧にテレビまで付いている。シャワーも、ホテルにあるような大きさで。
こんなに広いから落ち着かないんだよ。
思わず素肌の肩を抱きしめる。
自分が何も着ていないということをどうしても意識してしまう。
そのうち慣れるのだろうか――。
ふと、そんなことを思った。
――何か困ったことがあったら何でも言って。
さっき、木村はそう言ったけれど。立科さんのことを木村に相談したからと言って、何かいい方向に向かうとは到底思えない。余計にこじらせるだけのような気がする。
本当に、面倒くさい。
私は今、人生、それどころじゃないんだよ――!
心の中で悪態をつき、勢いよく顔に水をバシャバシャと掛けた。