ニセモノの白い椿【完結】


木村と二人で暮らし初めて約半月ーー。

職場で、白石さんと話をする時、微妙に肩に力が入る。

この、絶対に知られてはならない超極秘事項のせいで、私を緊張させるのだ。
そもそも、白石さんだけではない。職場内の誰にも知られるわけにはいかない。

でも、一番警戒すべき相手は白石さんなわけで。
なるべく彼女とは、仕事上の会話だけをするようにしていた。

「――木村さんって、お父様が頭取じゃないですか」

それでも、たまたま昼休みの時間が合ってしまって、どうしても二人で昼食を食べる派目になることがある。

こうなると、彼女の話題の半分は木村のことだ。
それも、私の表情をじっと見て。
まるで、何かを探り出すみたいにーー。

「家でも外でも上司がいるって、息が詰まりそうですよね? 木村さん、ちゃんと息抜き出来てるのかなぁ」

サンドウィッチを手にしながら、白石さんがそんなことを言った。

「でも、木村さんって日頃は一人暮らしでしょう?」

つい、私はそう漏らしてしまった。

「え? 何言ってるんですか。木村さんは実家暮らしのはずですよ? ここへのアクセスもいい、都内の一等地にご実家がありますし」

え――?

そんなはずはない。だって、現に私は、木村のマンションで同居している。

でも、そんなことを白石さんに話せるわけもなく、「そうなんだ」と相槌をうつしかできない。

一体、どういうことだーー?


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