契約ウエディング～氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う～

私は黒塗りのベントレーの後部座席に乗せられ、閑静な住宅街を抜け、高台にある挙式会場となっている『ダイヤモンドホテル・山手』に向かった。
山手町は高度経済成長期の最中、人口増加の為、山を切り開き作られた高台の街。
高齢化と建物の老朽化で、再開発が進み、ようやく新興住宅地として生まれ変わった。




その所有者が旧家財閥『長谷川家』
その当主が長谷川俊吾(ﾊｾｶﾞﾜｼｭﾝｺﾞ)様。
東大理工学部卒の理系男子。オーバルタイプの眼鏡が似合い、整った顔立ちで長身の二十九歳。
大学時代、ゼミの仲間と共に研究開発されていた粒子法などの物理シミュレーションを応用し、スマートフォンやタブレット端末のアプリケーションを提供するベンチャー企業を設立。

アメリカのシリコンバレーで行われた世界のベンチャー企業を対象にしたコンテスト『ビジネスエキスポ』で入賞。
それが巨大ＩＴ企業　『リバティ』のリチャードＣＥＯの目に留まった。彼はリチャード氏にヘッドハンティングされ、『リバティ』に入社。


帰国後は、『リバティ・ジャパン』代表取締役として世間に認知されていた。

そして、彼は私の初恋の人・・・