身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
退院しても、私のお腹の張りやすさをみれば立ち仕事が主な今の仕事を続けるべきじゃないと、主治医の先生とお姉ちゃんが警告したためだ。
約一か月近くの入院を経て退院しても、張り止めの薬を八時間置きに必ず飲まなくてはいけないという生活が始まった。
しかし薬には副作用があり、飲むと三十分ほどで動悸がし、どくどくと心臓が激しく音を立てた。そして同時に、指先の痙攣も見られた。
それでも張り止めの薬は私にとってはお守りで、うっかり忘れることなく真面目に一日三回服用している。
もし、この張りを放置していれば……正期産でもないのに陣痛が始まり、赤ちゃんが生まれてきてしまうという。
『無理はしないこと。ちょっとでもお腹が張ったら横になりなさい』
これが、最近のお姉ちゃんの口癖だ。
無事に退院したものの、なるべくゆっくり過ごしなさいと日々言われている。
妊娠がわかり、ひとりで産むと決意したあの日、お姉ちゃんは一緒に住もうと言ってくれた。
内心不安でいっぱいだった私の気持ちが、お姉ちゃんにはわかったのかもしれない。
心強かったし安心したし、何よりすごく嬉しかった。
それからすぐ、お姉ちゃんの住まいに引っ越す手配をした。