身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
手を差し出しながら晴斗さんが訊く。
その手に自分の手をのせ「そんなことはないです!」と否定した。
「ならいいけど」
私の手を引きエレベーターホールへと向かっていくと、背後で車のロック音が地下駐車場に響く。
地下からエレベーターで向かったのは、このマンションの最上階二十六階だった。
自分の気持ちが落ち着かないのは、出会ってから晴斗さんがこのお腹のことに関して全く触れてこないからだと気が付いた。
大きく膨らんだお腹の私に、晴斗さんがふたりきりで話したいこと。
この子が、自分の子じゃないかというのを確かめたいからに違いない。
あの沖縄で過ごした時と変わらず、晴斗さんは至って普通に落ち着いて見える。
だけど、表に出していないだけで内心は物凄く焦っているのかもしれない。
自分の子を妊娠していたら、どう責任を取ったらいいのか。
堕胎できる時期はとうに過ぎていることは、お医者様ならわかるはず。
私とは成り行きで一夜を共にしただけで、晴斗さんにはちゃんとした相手がきっといるはず。
だとすれば、私が晴斗さんの子を妊娠し、産もうとしていることは、彼にとって迷惑どころの話ではない。