身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「それに、晴斗さんと私じゃ住む世界も違う。きっと、釣り合う人がちゃんといて、私なんかが好きになっちゃだめな人だから……って、こんな風に思うこと自体が筋違い」
話している声が震えてきて、喉の奥が詰まったように苦しくなってくる。
お姉ちゃんが黙って、そっと布団の上で組み合わせていた私の手を取り握りしめた。
「もうすぐ生まれてくるこの子を、笑顔で迎えてあげたい。だから、できるだけ穏やかに過ごしたいの。私が傷付いてたら、この子も悲しむでしょ?」
ぽろりととうとう涙がこぼれ落ちて、お姉ちゃんの手の甲を濡らす。
お姉ちゃんは白衣のポケットから自分のハンカチを取り出し、私の手に握らせた。
「だから、もう大丈夫。私がひとりで――」
「俺は大丈夫じゃない」
涙に濡れた私の声を遮るように、病室の入り口に人影が現れた。
よく知っている低く落ち着いた声音に、ショックで止まったのではないかと思えるくらい今日一番心臓が跳ね上がる。
病室に入ってきた初めて見る彼の白衣をまとった姿に、流れていた涙がぴたりと止まった。