身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「お姉さん、旅行はいつまで?」


 パフェに乗るマンゴーをフォークで刺していると、グラスを磨くマスターがカウンター越しに訊いてくる。


「三泊四日で来ていて、今日二日目なんです。なので、帰るのは明後日なんですけど」

「そっか。で、沖縄観光はどこに行ったの」

「今日は、美ら海水族館まで行ってきました。ジンベエザメ見に」

「へぇ~、定番だね。こっちのほうからじゃ遠かったんじゃない? どの辺りで宿泊してるの?」

「あー、恩納村のホテルです。ここからだと一時間くらいですかね?」


 マスターが気さくなおかげで、初めてお店に入ったくせにずいぶんと打ち解けて話している。

『マスターのお兄さんが気さくでさ、トークも面白くて』

 昨日、お姉ちゃんが言っていた言葉がふと頭の中に蘇り、やっぱりこの店のこのマスターのことなんだと確信に近いものを得ていた。


「じゃあさ、もし都合良かったら今晩また来なよ。晴斗、ディナーの時間にもまたピアノ弾きにくるから」


 えっ……。


「そうなんですね。それはまた聴きたいかも……」

「じゃあ決まり。このままここにいてもいいしね。十九時あたりからだからまたその時間に来てもいいし」


 そんなことを話していると、通話を終えた晴斗さんが元の席に戻ってくる。

 パフェを食べ終え、「ひとまず、一旦出ます」とマスターにお会計をお願いした。

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