身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


 冷静になろうとそんなことを思ってみても、繋がった手から伝わる彼の体温に鼓動はますます音を大きく鳴らす。

 駐車場に入り車まで戻ると、晴斗さんは私を助手席まで連れていってくれた。

 ドアを開けてもらい、そこでやっと手が離される。

「すみません」と言って座席に乗り込むと、晴斗さんはドアを閉めて運転席へと回っていく。と、外でスマートフォンを操作し始めた。

 そのままどこかとの通話が始まり、その間に高鳴ってしまった鼓動を急いで落ち着かせようと胸を抑える。

 落ち着け、静まれ、と唱えているうちに電話を終えた晴斗さんが運転席のドアを開けた。


「お待たせ」

「あ、はい。お願いします」


 晴斗さんが乗り込んでくると、ふわりといい香りが香る。

 この香り、なんの香水だろう……?

 爽やかなんだけどどこか甘くて、エキゾチックな香り。

 エンジンをかけ車が発車すると、「ちょっと寄り道する」と晴斗さんは言う。


「寄り道、ですか?」


 どこに行くのだろうと思っているうちに車が停車したのは、始めに止めた古宇利ビーチ近くの駐車場だった。

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