身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
車を降りた晴斗さんが私の乗る助手席側へと回り、ご丁寧にドアを開けてくれる。
降車すると自然に手を取られ、また落ち着き始めていた心臓が大きく打ち鳴った。
「あの、寄り道って……?」
晴斗さんの足が止まったのは、さっき私が足を止めたアクアドーム作りを体験できる場所。
晴斗さんは振り返り、ぼんやりとお店を眺める私を見下ろす。
「作りたかったんじゃないの?」
「え……でも――」
「俺との思い出ってことで、記念に作らない?」
そんな風に言われてしまうと言葉に詰まる。
でも、すでにキャンセルしてしまっているのだ。
「あの、でも、私キャンセルしてしまって」
そう言うと、晴斗さんは微笑を浮かべて「大丈夫」と手を引く。
店先で「すみません」と声をかけ、出てきたスタッフに「今連絡しました、成海です」と言った。
え……いつの間に……?
そういえばティーヌ浜から出る前、車の外でどこかに電話をかけていたと気付く。
わざわざ、連絡してくれたんだ……。
気遣いにじーんとくる。
お礼の一言も喜びの言葉も出てこないまま、さっき外から見ていたテラス席へと案内された。