身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


 瓶や仕切られたアクリルのケースが運ばれてきて、その中には珊瑚や綺麗な貝、海の動物を象ったガラス細工や装飾に使うビー玉などが種類別にたくさん入っている。

 説明していたスタッフが去ってふたりきりになると、向かいに座る晴斗さんが私の目の前で「おーい」と手を振った。


「大丈夫か? 説明聞いてた?」

「あ……聞いてなかったかも」

「おいおい……」


 指先でガラス細工を摘み眺めながら、晴斗さんはちらりと私に目を向ける。


「もしかして、嫌だったか? 確認もしないで勝手に連れてきて」

「い、いえ! そんなことないです! そうじゃなくて、嬉しかったので……」


 ちょっと照れくさい気持ちが押し寄せてきたけれど、素直に自分の気持ちを口にする。

 晴斗さんは「そっか」と薄っすら笑みを浮かべた。


「ならいいんだけど」

「はい……ありがとう、ございます」


 悲しい思い出を残したくないと思ってキャンセルしたアクアドーム作り。

 だけど、思いがけず晴斗さんと作ることになったこれは、きっと東京に帰ってもいい思い出になるに違いない。

 目の前にある、まだ土台だけのアクアドームにそんなことを思う。

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