身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
出せる量の体の水分は出し切っただろうと思えるほど、一晩中涙は出続けた。
もちろん眠りにつけるはずもなく、泣いたせいでぼんやりとしたままカーテンの向こうが明るくなってくるのを見つめていた。
帰ってきたばかりの時は混乱していて、次第にショックで悲しくなり、涙が溢れた。
そのあとは一旦思考が停止したように頭の中は無になって、一点を見つめてぼんやりとする時間が流れた。
そして当初起きる予定でいた午前五時を迎えると、不思議なことにスイッチが入ったようにシャワーを浴びていた。
出ていってしまった水分を取り込むように、熱いシャワーをじっくり浴びる。
それから普段通りメイクをし、長い髪は緩く巻いてハーフアップにまとめた。
冷蔵庫の中から、好きで買い溜めをしているフルーツの実が入ったカップヨーグルトを取り出す。
そういえば昨日のお昼ご飯以降何も食べてなかったと思いながらヨーグルトを食すと、戸締りを確認し、用意しておいた荷物を持って玄関を後にした。
昨日は一日中降り続いていた雨は、今朝はすっかり上がり雲ひとつない青空が広がっている。
まだ明けたばかりの空は気持ちが晴れ晴れするほど真っ青で、思わず大きく深呼吸をしていた。
昨日はあんなに泣いていたのに、今日はこんなにすっきりした快晴なんて……。
青しかない空を見ているだけで、なんだか救われたような気持ちにさせられる。
「……よし」
乾き始めたアスファルトの道を、ひとりキャリーケースを引いて颯爽と歩きだした。