身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「そういうのはご無沙汰かな。残念ながら」
「え……それは嘘ですよね?」
「なんで嘘だって思うの?」
「え、だって、絶対おモテになるだろうし……」
この容姿にスペックじゃ、周囲の女性が放っておかないはずだ。
そうじゃないとすれば、高嶺の花すぎてみんな眺めているのが精一杯とか……。
「それは佑杏ちゃんの勝手な妄想な」
「妄想じゃないですよ。想像つきますもん」
譲らない私を晴斗さんはフッと笑う。
「ま、残念ながらとか言ってみたけど、本当は今はいいかなって思ってきたからで。仕事に重きを置いてやっていきたいのもあって」
急に真面目な回答が返ってきて、思わず返答に詰まる。
そっか、そうだよね……晴斗さん、医者様だもん。
「恋愛より、お仕事に専念したい……みたいな感じですか?」
「そういうこと。俺なんかまだまだぺーぺーだから、女に現を抜かしてる場合じゃないっていうかさ」
静かに上昇していく観覧車から、夕焼けに染まる街並みが広がる。
ピンクとオレンジが混じり合う空には、薄紫の雲が浮かび幻想的だった。
「綺麗……」
それからはお互い言葉を交わすことなく、外の景色をじっと見つめる時間が流れた。
陽が沈んでいくのが美しいと感じながら、もう少しでこの時間も終わってしまうことに気付く。
楽しい一日って、こんなにも早い。
ちらりと晴斗さんを盗み見ると、その視線は遠く沖縄の街並みに注がれていた。