身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「え?」

「そんなんで帰ったら絶対風邪ひくから」

「え、でも」


 腕を掴まれ「いいから早く」と連れ出される。

 私を車から降ろした晴斗さんは、足早にマンションのエントランスを入り、エレベーターへと乗り込んだ。


「こっから一時間近く車乗って帰るんだし、せめて少し乾かしてタオル持って帰ったほうがいいから」


 間違いなく晴斗さんの住まいへ向かっているこの状況に、無条件で鼓動が早鐘を打ち始める。

 濡れてしまって仕方なくだけれど、平然となんてしていられない。

 八階で扉が開き、晴斗さんが再び私の手を握る。

 エレベーターからすぐの部屋の前に着くと、鍵を開け「どうぞ」と中へ促された。


「すみません、失礼します」


 濡れているため、どうしたらいいのかと戸惑いながら靴のままドアを入ったところの隅で立ち尽くす。

 あとから入った晴斗さんは靴を脱ぎ「ちょっと待ってて」と足早に部屋の奥へと向かっていった。

 あまり観察してはいけないと思いつつ、ちらちらと周囲に目を配る。

 ウィークリーマンションだと言っていたのもあり、玄関やその周囲には私物と思われるものはほぼなかった。

 あるのは玄関に一足、今日は履いていなかったブラウンの革靴が置かれている。

 スーツの時にでも履く靴なのだろう。

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