身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「それ、新商品なんだって。この間サンプルでもらったやつでね。とっといてよかったわー。まさか佑杏が使うとは思いもしなかったけど」


 お姉ちゃんは平気でそんなことを言いながら、私の腕を掴む。


「目眩はどう? 落ち着いた?」

「あー、うん。大丈夫そう」

「じゃ、調べておいで」

「え、今?」

「今よ、今。はっきりさせたほうがいいでしょ」


 ソファから私を立ち上がらせ、トイレへと連行される。


「簡単だから、裏の説明読んでね」


 トイレのドアを開くと、「行ってらっしゃい」と送り出された。


 ちょっと待ってよ、検査ってほんとに……?


 職場で陳列の際に手にしたことは何度もあるけど、トイレの個室内で、今から自分が使用する身として手にするのは人生初めてのこと。

 戸惑いながら便座に掛け、箱の中身を取り出す。

 箱の裏の説明を見ながら中のアルミパッケージから本体を取り出し、検査薬をまじまじ見つめた。

 次第に緊張が高まるのを感じる。

 説明書通り使用し、丁寧に検査口にキャップをつける。

 小窓を隠すように床にそっと検査薬を置いた。

 妊娠なんてしているはずがない。

 そう思う反面、もしこの検査薬に陽性の結果が出たらどうしようかと思う自分もいる。

 避妊はしていた。でも、生理がこない。だけど、妊娠なんてこと……。

 ぐるぐると色々なことを考えているうち、トイレの扉がノックされる。

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