Pride one
 助手席に投げ出された案内状には、つんと顎を持ち上げ、すまし顔をしたごん蔵と、憎憎しいほど明るい笑顔の美波の写真が印刷されている。

 どこで知りあったのか、相手の犬が沖縄在住らしい。その後ごん蔵は相手方に引き取られるという、普通では考えられない話なのだが、飼い主が美波なら納得できる。

人の想いは汲まずとも、動物の想いは優先させるらしかった。それを美波だから、と当たり前のように思ってしまうのだから、幼馴染みというのは恐ろしい。

 肘まで捲ったシャツの袖を戻しながら、優月はふうと息をついた。神長から言われて、大急ぎで沖縄の正装、かりゆしウェアを調達したのだが、長袖を買ったのは失敗だった。こう暑くては敵わない。

 カーナビが目的地到着のアナウンスを告げた。

 真新しい看板の案内に従って道を曲がると、青空に良く映える、眩しいくらいに真っ白なチャペルが見えた。入り口にはブーゲンビリア柄のシャツを着た式場スタッフが整列している。
< 32 / 53 >

この作品をシェア

pagetop