Pride one
「あの、俺ぜんぜん今日の経緯とか聞いてなくて」

「あら、そうなの? お相手の金城さんは、青波荘の常連さんからの紹介でね。わざわざ沖縄からうちまで遊びに来てくださったのよ。話をしたら、ちょうどいろんな条件が揃って、とんとん拍子に結婚まで決まって。金城さんもね、民宿やってる方なのよ。このあたりで」

 美波の母が調子よく話をし始めたところで、式場スタッフの一人があわてた様子で駆けてきた。

「茂久田さま、お母様でいらっしゃいますか。これから親族のみなさんで写真撮影をしますので、ご移動お願いいたします」

「ああ、はいはい。……じゃあゆずちゃん、またあとでね。また年末も実家に帰って来るでしょ? そのときに今日の話もゆっくりね」

 とりあえずその場は笑顔を取り繕ったが、頭は混乱したままだった。ひとりになると、優月はソファに再び腰を下ろした。勘違いしていただけなのか、そうじゃなければ一体どういうことなのか。

鞄から招待状を引っ張り出して、じっくりと読み直そうとしたが、目は文字を追っていても内容が頭に入ってこない。
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