Pride one
 ついひと月ほど前のあのやりとりで、捨て鉢になって結婚を決めてしまったのだろうか。それとも、本当は口で言うほどの関心は無く、好かれていると思い込んでいたことが自惚れだったのか。

はたまた結婚式自体、冗談にもならないような悪戯なのだろうか。急に全てが分からなくなり、優月は落ち着かない気持ちのままに腰を浮かせた。

 ポケットからおもむろにスマートフォンを出す。こうやって何かの答えを求めようとするとき、頼りたくなってしまうのが神長だった。

『Y.Narisawa:なんか、美波の結婚式っぽいんだけど。親がいた』
『R.Kaminaga:その可能性もあるなと思ってた』

 仕事中だったのか、レスポンスは速い。

『Y.Narisawa:まじか。だからお前、かりゆしウェア買えとか言ってたってこと? いやでもまだわかんない、トラップかも』
『R.Kaminaga:ないだろ。金がかかりすぎる』

『Y.Narisawa:わからん、まじ謎。もう帰りたいんだけど』

 メッセージを打っていると、カツカツとやけに響く革靴の足音が、優月の正面に近付いてきた。綺麗に折り目の入った白いスラックスが視界に映る。
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