Pride one
 言葉が出てこなかった。それを認めながら、何故二人が結婚をするのか、優月には分からなかったからだ。金城は沖縄で民宿を営んでいるというから、たしかに美波の条件に適う。

金城にとっても都合がいい存在なのは間違いない。ただ、人生を左右するような大切なことを感情抜きに決めるなど、できるものだろうか。

「どうか美波の願いを叶えてやって欲しい。お願いします」
 金城は深々と頭を下げた。優月が「はい」と言うまでは、頭は上がりそうにない。

「俺はともかく、それって、金城さん的にはどうなんです?」
 優月は疑問をぶつけた。

「好きなようにさせてやりたい。見ての通りこっちはそれなりの年齢だし、ましてや初婚でもない。それでも嫁ぐことを決めてくれたのだから、こんな日くらいは美波のために何かがしたい。とはいっても、俺には頭を下げることしか出来ないけれど。長年の想いは簡単に断ち切れるものではないのは分かってる。だから、美波自身、なにか気持ちの区切りが欲しいんだと思う」

 お願いします、ともう一度力強く押された。
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