誘拐は激甘生活の始まりVI
「杏菜、ありがとう。ごめんね」

リオンは優しく微笑み、リビングから出て行った。それを見つめていた杏菜は背後から抱き締められる。

「ダ、ダミアン様……」

杏菜を強く抱き締め、ダミアンは杏菜に顔を押し付けている。そして、震える声で「さっき言ってたことって本当?」と訊ねた。

杏菜の胸がドキッと音を立てる。きちんと言わなければならない。杏菜は自分に言い聞かせ、ダミアンの方を向く。杏菜を離したダミアンの顔はどこか緊張しているようだった。

「はい。私、北山杏奈はダミアン様を心から愛しています」

杏菜がそう言い微笑むと、すぐにダミアンにキスをされる。息が続かなくなっても、杏菜の目から涙がこぼれても、キスを止めることはできない。

「よかった……。好きになってくれるのかなって心配になってたんだ」

「あれだけアプローチされたら誰だって好きになっちゃいますよ。それに、ダミアン様が言ってたじゃないですか。「離れられなくする」って……」
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