今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
お父さんの目線が高くなる。
瀬那先生を見ているに違いない。
「男としても教師としても、つむぎさんが頑張り屋なのは知っています。つむぎさんの周りには笑顔が溢れていて、僕も、そんなつむぎさんにいつも元気をもらっています」
「……」
「だから、そんなつむぎさんが疲れてしまったときは、僕が男として支えてあげたいなと思いました」
瀬那先生が私のことをそんなにしっかりと見てくれていたことを知り……嬉しいような恥ずかしいような、いろんな感情が混ざった不思議な気持ち。
しばらく沈黙が続き……その沈黙を破ったのは、お父さんだった。
「……さっきの地震、平気だったのか」
「瀬那先生が、私とお母さんを急いでテーブルの下に誘導してくれたの。だから、大丈夫だったよ」
「泣かなかったのか」
「……うん」
「小さいころは、お父さーんって泣いてしがみついてきていた。そんなつむぎも、もう16になったんだもんな……」
お父さんの目が……優しくなったことに私は気づいていた。