今日も、私は瀬那先生を誘惑します。
俺と恵玲奈が結婚すると言うウソのウワサもまったくなくなったところで、安心したのもつかの間……。
女子生徒たちは以前よりも俺に絡んでくるようになっていた。
女子生徒に囲まれながら歩く廊下。
そこで、つむぎとたまにすれ違う。
わかりやすく眉間にシワを寄せて怒っているのがわかった。
デートしているときに「あのとき怒ってた?」と聞くと、つむぎは「だって、私だって瀬那先生のそばにいきたいもん」と口を尖らせた。
なんだこのかわいい生き物は……と、今すぐ抱きしめたい気持ちを抑えて、俺は車を走らせた……。
学校ではほぼ毎日顔を合わせているけど、俺はどうしても先生の顔で先生としての態度しかとれない。
だから、大好きなつむぎを目の前にしても……常に犬がおやつをおあずけさせられているような気分になる。
その分、休みの日に1日会えるとつむぎへの想いが勝手にどんどん溢れてしまう。
それをコントロールできるのが大人なはずなんだけど……まだまだおこちゃまの俺にはそれは難しいみたいだ。
【瀬那 side end】