きみに ひとめぼれ
「ああ、そういう意味なんだ」
彼女の思いのほか明るい声が放たれて、「え?」と僕は思わず顔を上げてしまった。
「ありがとう、園田君」
ほんの一瞬だけ見えた彼女の表情は、先ほどよりもずっとすっきりしているように見えた。
そして、彼女はまた背を向けて、窓から見える残りわずかとなった夕焼け空を仰いだ。
「わかってるんだあ、私だって」
ぐすんと、彼女が洟をすするのが分かった。
「ああ、ダメだあ……、私、やっぱり、勝見君好きだなあ」
声が震えていたけど、僕にはわかる。
坂井さんは、笑って言ったんだ。
流す涙は、嬉し涙だってことを。
彼女は窓の外を見つめたまま、こちらを振り返ることはなかった。
僕には、その窓から見える消え入りそうな夕焼けさえまぶしすぎて、見ていられないほどだったのに。