溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
 そしてお互い見つめ合ってどちらからともなくキスを交わす。触れるだけのキスを何度もして、その間にまた見つめ合い笑い合う。

「なあちょっと気になることがあるんだけど?」

「ん? なあに?」

 首を傾げるわたしに、和也くんはいたずらめいた表情を浮かべる。

「瑠璃のした〝色々な妄想〟ってなに?」

「え、あ、いやそれは……」

 さすがに本人を前にして言うのはいくらわたしでも恥ずかしい。

「言えないのか。じゃあその妄想とやらをもっと叶えようか?」

「……え……それって」

 和也くんの目に熱がこもる。それと同時にわたしの胸がドキドキと激しい音をたてはじめた。

「こういうことだよ」

「きゃぁ」

 和也くんは隣に座っていたわたしを軽々抱き上げる。

 わたしは落ちにないように、彼の首に手を回す。

「嫌なら嫌って言えよ」

 強引なのはいつものこと。でもこうやって最後にはわたしの気持ちを聞いてくれる。

 わたしはゆっくりと首を左右に振る。

 すると和也くんはわたしの額に小さくキスをした。それが合図かなにかのように、彼はわたしを抱えたまま廊下に出た。

「あのね、和也くん。お姫様抱っこされるのも、わたしの夢のひとつだったの」

 そういえばと思い出して言ってみる。

「なんだよ。ほんと、かわいいやつだな」

 彼は笑いながら、ひとつの扉をあけた。

 そこには大きなベッドとサイドチェスト。それにフロアランプだけのシンプルな部屋だった。

 なんだか急に恥ずかしくなった。壊れ物でも扱うかのようにゆっくりとベッドの上に降ろされた。

 じっとお互いを見つめる。彼の目にはいつもと違い色気が漂っている。今まで見たことのない和也くんの表情。

 これからもっともっと新しい彼を発見していくことになるんだろうな……。

 そんなふうに正気を保っていたのもつかの間。

「なに? また妄想してるわけ?」

「え、いや。違うけど」

「まあどっちでもいいけど。お前の妄想なんて比にならないほど、よくしてやるよ」

「……っん」

 すぐに激しい口づけが落とされた。深い口づけはわたしから思考能力を奪っていく。

 大きな手のひらから感じる熱は、わたしから冷静さを奪っていく。

 そうやって奪っていったぶんだけ……いや、それ以上に彼はわたしに愛を注いでくれる。

 和也くんの言ったとおり本当にわたしの想像なんて比べ物にならない。

 切なくて甘くて苦しくて、でも幸せで……彼の腕の中にいる喜びを心と体で感じていた。
< 106 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop