溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
 和也くんは、父から一切目を離さずに話を続ける。

「ですが、お互いをもっと知ろうにも、なかなか時間を持つことができずにいるのが現状です。瑠璃さんにも本当の私を知ってもらい、これから先のことを考えるための時間が必要だと思うのです。ご心配かと思いますが、私も大切な瑠璃さんに後悔のない選択をしてもらいたいのです」

 それはきっとこれからのことを含めだろう。和也くんが思いつきで同棲を提案したわけではないことが十分伝わってきた。

 和也くんの意見を聞いて、しばらく考えていた父が、急にこちらを向いた。

「瑠璃、お前はどう思ってる」

 いきなり話を振られて、驚いた。けれど当然と言えば当然だ。わたし自身のことなのだから、きちんと自分の気持ちを話さなくてはいけない。

「最初は……和也くんと一緒に暮らせることに舞い上がっていたの。でも生活を一緒にするってなると、きっと楽しいことばかりじゃないと思う。だけどそれをふたりで乗り越えられたら、新しいふたりの関係が築けると思うから……」

 わたしは父の顔をまっすぐ見た。そしてゆっくりと頭を下げる。

「和也くんと一緒に暮らすのを許してください」

 それと同時に隣にいた和也くんも、父に向かって深く頭を下げた。

「……わかった。これから周りがこうやってなにか意見をすることもあるだろう。それでも大切なのはふたりの気持ちだから。これからはふたりでよく話し合って解決するようにしなさい」

 父は厳しい表情のまま、わたしと和也くんにそう言った。

「その言葉、ずっと心に留めておきます。ありがとうございます」

 和也くんはもう一度深く頭を下げた。
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