溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
「もう隠しごとはなしだよ?」

「わかった」

 お互い微笑み合ってもう一度キスしようとしたとき、和也くんがなにかを思い出したようだ。
「そういえば、お前の浮気疑惑はまだ晴れてないからな」

 和也くんの表情が不機嫌にゆがむ。

「えっ! わたし浮気なんてしてないよ?」

 こんなに一途に彼のことが好きなのに、浮気なんてするわけない。

「君島と楽しそうにデートしてたじゃないか?」

「あ、あれは! ただ食事をしただけじゃない」

「本当に? 君島はそうは思ってなさそうだったけど」

 疑惑の目を向けられて、慌てて弁明する。

「いえ、たしかに前にふざけて告白されたりもしたけど――」

「あぁ? そう言えばその話、詳しく聞いてなかったな」

 なんだかとてつもない墓穴を掘ってしまったようだ。慌てて口をつぐんだがすでに遅かったようだ。

「あらためて、じっくり聞かせてもらおうか」

 ただでさえ近い距離をジリジリと詰められる。

「まあ、でもその前に。今夜は思いっきり瑠璃を抱きたい」

 ストレートな言葉に、胸がドキドキとうるさいくらいの音を立てる。

「ダメか?」

 窺うような視線。強引な彼が時折見せるこういう姿をたまらなく愛しいと思う。

「ダメなわけ……ない!」

 わたしが自分から彼の胸に飛び込むと、ギュッと抱きしめ返してくれた。

「はぁ、ひさしぶりの瑠璃だ。悪いけど今日は俺がいいって言うまでつき合ってもらうからな」

 怖いような宣言の後に過ごした寝室での甘い時間は、わたしの不安を溶かして和也くんとの結びつきがより深くなったような気がした。
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