溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
 持つべきものは美容に詳しい妹だな……。

 わたしはタクシーの中で、鏡を覗いてそう思った。

 シャワーを浴び終えたわたしを待っていたのは、魔法かと思うような瑠衣のメイクとヘアセットだった。さすが本職。

 クリスマスデート用にいつもよりもほんの少し華やかなメイクに仕上げてくれた。髪はコテでふわりと巻いて、いつもは仕事柄しないネイルもほんのりとした桜色のかわいらしいマニキュアを塗ってくれた。

 和也くんからの荷物の中には、靴やバッグも一緒に入っていてそれを身に着ければ完璧なデートスタイルのできあがりだった。

 父は少しさみしそうにしていたけれど、和也くんとデートできることになったわたしを、母も瑠衣も喜んで送り出してくれた。



 わたしが待ち合わせの場所、カメリアホテルに到着したのは待ち合せの時間ギリギリだった。

 ロビーに入ってすぐに和也くんを見つける。最近は見慣れてきた彼のスーツ姿だったが、今日は一段とカッコよく見えた。

 黒をベースにしたピンストライプの細身のスーツ。合わせた黒いシャツにクリスマスを彷彿とさせる赤いネクタイは、洗練された一部の人しか似合わない。それをさらっと着こなす和也くんはやっぱりカッコいい。

 彼のまとっている雰囲気がいい男だと物語っている。ただ立っているだけなのに、周りの女性たちの視線を集めていた。本人はまったく気にする様子もない。きっと普段から注目されているから気にもならないのだろう。

 すぐに和也くんもわたしに気がついてくれた。軽く手を振ると彼に目を奪われていた女性達の視線が一斉にわたしに向けられた。なんだかいたたまれないと思ったけれど、和也くんはその視線を遮るように長い足であっという間にわたしの前までやってくる。
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