溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
「そんなに喜んでくれるなら、普段からもっと連れてこようか?」

 和也くんの提案にわたしは慌てて首を振る。

「そんな、特別な日だからいいの! それにわたしが一番喜んでいるのは、和也くんとクリスマスを過ごせることだから」

 どんなに豪華な食事も、素敵なドレスも、和也くんがいないと意味がない。

「そういうところなんだよなぁ……ほんと」

 ぽそっとつぶやいた和也くん。

「ん? なにが?」

 その意図することがわからなくて、聞き返す。

「いや、俺やっぱり、瑠璃のことが好きだなって思っただけ」

「あ、いや、えーっと」

 本当に急にそういうこと言うのずるいと思う。顔を赤くしたわたしを、和也くんは笑いながら見ていた。

「まあ、今日はこれで終わりじゃないから、部屋に行こう」

 差し出された手に自分の手を添える。腕を絡めて時折彼の顔を見ながら歩く。和也くんはいつも通りリラックスして見える。

 ここまででも完璧なクリスマスデートだ。

 でもそれ以上のものが、わたしを待っていた。

「ほら、開けて」

 部屋の鍵を渡されたわたしは、ウォールナットのドアにカードキーを差し込み扉をあけた。

「わぁ」

 思わず驚きの声をあげる。五十三階の部屋、窓辺に立つと遠くまで夜景が見渡せる。広い部屋には座り居心地のよさそうなソファ。それに大きなクリスマスツリー。思わず駆け寄って眺めた。

 大きなもみの木は、ゴールドとレッドのオーナメントで飾られていて、とても華やかだ。ひとつひとつを眺めているとつい時間を忘れてしまいそうだ。

「瑠璃」

 呼ばれて振り向くと、すぐそこに和也くんが立っていた。

「なあに? ……どうかしたの?」

 それまでのリラックスした雰囲気と違い、真剣な顔の和也くんに驚く。
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