溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
 和也くんと並んでいる姿を見てもお似合いだな。あんな顔に生まれたかった……。

 ちょっと落ち込みながら画面に集中する。

 さすがの和也くんもテレビに出るのははじめてだろう。それにもかかわらず、まったく動じた様子もなく、ときに笑顔を見せるものだからきっとお茶の間のみなさんも彼のことが気になってしまうに違いない。

 ああ、カッコいいなぁ。

 特に、彼の専門分野について話すときはとてもわかりやすく、かといってむやみに視聴者を不安にさせるような言葉は使わない。

 カッコいいし素敵だなって思うけれど、なんだか彼が遠くに行ってしまったみたいでさみしくなった。

 わたしはテレビを見るのをやめて、もくもくとサンドイッチを食べた。

「見ないの?」

 真鍋さんが不思議に思ったのか聞いてきた。わたしは正直に自分の気持ちを話す。

「なんだか、わたしの知ってる和也くんじゃないみたいで」

「最近、会えてないの?」

「はい。まあ、もともと定期的に会うような関係じゃないですしね」

 自分で口にして、わたしたちってどういう関係なんだろうと考える。元部下ではあるけれど、それがなければ……やっぱり、ストーカーと被害者っていうのがしっくりきそうだな。

 最近は少しいい関係だったと思うけど……。

 そこまで考えて悲しくなった。

 彼と一緒に働いて以降、自分が欲張りになったと思う。

 その理由として、今回がわたしにとって最後のチャンスだからというのもある。自分で設定したのだ。この一年で彼を振り向かせることができなかったら、きっぱりと諦めると。

 最初はうまくいっていると思っていた。けれど最近その雲行きが怪しい。そもそもほとんど会っていない。連絡さえもできていない。

 そんな状況でどうやって彼を振り向かせることができるのだろうか。ただでさえ、相手にされてなかったのに、このままではとてもじゃないけど、うまくいきそうにない。

 悪い考えばっかり頭に浮かんできた。

 それをどうにか追いやって、午後の診察を終えた。

 仕事をしているときは集中しているせいか、仕事以外のことをなにも考えないですむ。

 しかしひとたび仕事が終わると、とたんに頭の中は和也くんのことでいっぱいになった。
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