溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
 ここだと駐車場に入る車からも見えるし、徒歩やタクシーで帰ってきたとしても気付くことができる。彼を待つにはもってこいの場所だ。

 家を飛び出してかれこれ二時間が経過している。和也くんからメッセージの返信があるのはいつも遅い時間だからまだまだ帰ってこないのかもしれない。

 それでも待ちたい。今日どうしても彼の口から事実を聞きたいのだ。

 ずっと立って待っているから、足が疲れてきた。それでもわたしは彼が帰ってくるのを待つ。

 すると遠くに車のヘッドライトが見えた。じっと目をこらしていると、和也くんの車だとわかった。

 やっと来た。

 駆け寄りたいけれど、精神的なものかずっと立ったまま待っていたせいなのかわからないが足が動かない。

 じっと車を見つめていると、車が駐車場ではなく目の前に停まった。

「おい、どうして電話に出ないんだっ!」

「え、ああ……妹から何度も電話が鳴るから、電源落としてて……」

「バカ! まわりの迷惑を考えろ。妹さんから俺に電話があったぞ。お前と連絡が取れないって」

 待ちわびていた。やっと会えたというのにいきなり大声で怒鳴られて、わたしはそれまで抑えてきた感情が爆発してしまった。

「バカだよ。そんなことわかってる!」

「わかってるなら、心配かけるな。送っていく」

 手を引かれて車に乗せられそうになった。けれどこのまま帰されるわけにはいかない。

 わたしはその場で足を踏ん張って、車に乗るのを拒否した。

「乗らない! わたし話があって来たんだから。ちゃんと話を聞いてもらえるまで帰らない」

「人のこと勝手に待ち伏せしたくせに。本当のストーカーにでもなるつもりか?」

「なんとでも言ってよ!」

「わかった、車の中で話を聞く。それでいいだろ?」

 わたしの剣幕に、渋々折れた和也くんをじっと見つめる。

「話し終わるまで、車から降りないから」

「ああ、わかったから。早く乗れ」
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