【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
「ほんっとうにムカつく女。
あいつこそが私情挟んで真央に接してるじゃんね?
ちょっと綺麗だからって調子に乗ってんのよ、あの人」
「まぁ…花乃さんはずっと真央の担当をしていたからね。特別に思うのは分からなくもないよ。それでなくたって真央はグリュッグの看板だ」
「昴もあの女の肩を持つの?!」
「別に俺は彼女の肩を持ってる訳じゃないよ。それ程真央がグリュッグに大切にされてるって事だろう。
真央が休んでる間に俺が推されてたけれど、今回のドラマも俺の単独主演だったらここまで注目されていないだろうし」
「はぁ?!何よ、それ。別に真央みたいに自信家になれとは言わないけど、昴だって凄い人なのよッ?!
そんな風に自分を言うのは止めなさいよ!大滝昴は姫岡真央にだって負けてはいないわよ!」
余りの迫力にこちらが驚いてしまう程岬さんは真剣な顔をして声を張り上げた。
その言葉に、昴さんは小さな微笑みを見せる。
身を縮めて顔を真っ赤にさせる岬さんを見て、まさか岬さん…昴さんの事を?と下世話な想像をしてしまった。
「ありがとう、そう言って貰えるのは素直に嬉しいよ」
「べ、別に昴の為に言ってる訳じゃないからね?!
ただ俳優としての昴の事を言ってるだけだからね?!
そこに特別な感情なんてないんだからッ」
「はいはい、分かってますよ。」
顔を真っ赤にさせて焦る岬さんは新鮮で、何故か可愛らしい。それをかわす昴さんは岬さんの気持ちの微妙な変化に気づいているのか、気づかずにいるのかどこか余裕だ。
傍から見ていれば、すっごく絵になってお似合いのふたりな訳だが……。
そんな人の色恋沙汰を気にする前に、まずは自分の事だろう。