【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜

「それより静綺ちゃん…どうにかしてはあげたいんだけど、真央は俺の話を冷静に聞けるタイプじゃないし、俺から静綺ちゃんの事を言っても更に怒らせるだけだと思うんだ」

「それは確かに…」

昴さんの言っている事は正論だ。

「坂上さんから聞いてるけれど、同級生の彼とは何にもないんだよね?
疑ってるつもりはないんだけど、静綺ちゃんがまさかそんな事をする子だとは思えないし」

「昴馬鹿じゃん?静綺みたいな不器用な女が、二股まがいの事出来る訳ないでしょう?
それに彼氏が真央よ?そんな気持ちになる訳もない」

「も、勿論誤解ですッ…。雄太とは同窓会で再会して、確かに彼から好意を持たれているのは節々に感じていたんですが…私が好きなのは真央だけですッ。
けれど、強引に誘われて断れなかったのも事実で、一緒に出掛けてしまったり
昴さんや岬さんには分からないかもしれないけれど、確かに楽しいなって思う気持ちもあったんです。
それは雄太と一緒に何かをするのが楽しいとかじゃなくって、普通の大学生みたいに普通の事をしている事が楽しいと思ってしまったのは事実です。
真央や真央の職業に不満があるわけじゃないのに…そう思ってしまう自分も嫌で…」

怒らせた事。それよりも傷つけた事が申し訳なかった。

普通の恋愛をさせてあげられない。きっと私以上に真央が感じていた事で、そういう事を気にする優しい人だったから。

「ほんの少し静綺の気持ちが分からなくもないけど。
一般人と芸能人の恋愛ってそれだけ大変な事もあると、思う。」

「俺はそんなの気にしないけどね」
< 184 / 229 >

この作品をシェア

pagetop