【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
「それは~~~!昴が一般人と付き合った事がないからでしょう?!」
「岬だってないじゃん」
「こう見えてあたしも色々あるのッ。勿論アイドルだから恋愛禁止を掲げて活動してる訳で、恋人なんか出来ても絶対にそれがバレちゃいけない。
だってそれはファンの人の夢を壊す事になるから
けれどあたしは10代の頃は真央とだって付き合ってたし、実はファンの人とそういう関係にもなった事がある。
でも結局疲れて駄目になっちゃうの。すれ違いも多いし、忙しいし、恋愛の事だけ考えて生きてはいけないし
そういった事を踏まえれば芸能人と一般人の恋愛は普通の恋愛より難しい事がいっぱいあると思う…」
岬さんの切ない横顔が印象的だった。
それとは対称的に昴さんは何かを考え込むように俯いた。
ふたりとも立場は違えど、私と真央の恋を応援してくれてるのが伝わるから、また泣きそうになる。泣いたってどうしようもない事なのは分かっているのだが…。
「でも静綺ちゃんはこのまんまなのは嫌なんだよね?」
昴さんの優しい言葉にこくりと頷く。
「俺から何かを言ってもこんがらがるだけだ。岬からそれとなく伝えてくれるかな?」
「あ、あたしぃ~?!つーか昴に言われる前にそれとなく真央には連絡してるもん。
ラインは既読着く癖にずっと無視だし、電話も出ちゃくれないよ?!」
「それは参った。俺からも坂上さんにそれとなく伝えてくれるように言ってるんだけど、何分あの性格だから」
岬さんと昴さんは顔を見合わせて大きなため息をついた。