あの丘で、シリウスに願いを
「翔太、二人で食堂にでも行ってこいよ。外に食べに行ってもいいぞ」
「俺は誘ってるんだけどさー。まことが行きたくないって。まこと、行こうよ。横浜には美味しいお店いっぱいあるんだよー?」

極めて明るく、いつものように軽いノリで翔太が言う。翔太の軽さは、こんな時助かる。

「翔太先生と一緒に行くと、女子がわんさか集まってきて。食事くらいゆっくり食べたいのに」
「あれ半分はまことの親衛隊だろ?
聞いてよ、洸平。まことがカッコイイって女子が群がってくるんだぜ。本物のカッコイイ男がここにいるのに。女子ってわっかんねー」
「自分でカッコイイって言っちゃうなんて」

呆れてため息をつき、まことは笑った。
翔太と水上と話をしていると、落ち込んでいた気持ちも何とか持ち直してくる。

「えー、だって、一番カッコイイって言って欲しい子が全然言ってくれないんだもん」
「六平先生言ってやってよ。コイツうっとおしくて」
「翔太先生はカッコイイですよー」
「わ、めちゃくちゃ棒読み」

笑いが止まらない。こんな和やかな時間が楽しい。たとえどんなに忙しくても、辛いことがあっても、まことは翔太と水上と一緒に仕事ができることに幸せを感じていた。




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