あの丘で、シリウスに願いを

「今日さ、親父殿と拓人に呼び出されてね。相談もせずに君を勝手に異動させたこと、こっぴどく怒られたんだ、参ったよ。
実はもうすぐ光英大学付属病院がDMAT指定医療機関になる。俺と洸平は、DMATに登録するために大学病院に戻らなくちゃならない。
今だから言うけど、もともと俺たちは横浜新医療センター救急外来の設立に伴う即戦力だった。
まことをあそこのエースにしてから戻るって計画だったんだけどね」


DMAT（災害派遣医療チーム）。専門の資格を取得し、普段は通常の業務を行うが、出動要請があれば、すみやかに被災地や事故現場まで駆けつける医療チーム。危険を伴う任務だ。
まさか、翔太と洸平がDMATに登録するとは思ってもいなかった。その為に自分を育てていたことも。


「北山のところはどう？」
「あの病院のドクターは、皆さんとても優秀な方ばかりで。私は居場所がありません」