お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
「薫さん……」

背中に回した両の手にギュッと力を込めた。薫さんの温もりに触れてほっとしたのか頰を涙が伝う。それに気がついた薫さんは、優しく微笑みながら涙を拭ってくれた。

「そろそろ家に帰るぞ」

薫さんがそう言って私の身体を持ち上げた。まさかのお姫様抱っこ状態に私の心音は加速していく。

「わ、私もう大丈夫ですから! 歩けますから下ろしてください」

そうお願いしても薫さんは下ろしてくれそうになくて、そのまま部屋を出て専用エレベーターへと乗り込んで地下の駐車場に向かい、そのまま薫さんの車なら助手席へと下された。

「あ、りがとうございます」

顔を真っ赤にしながらそうつぶやくと、薫さんがニコリと笑いおでこにキスを落とした。

「大荷物を抱えて出ていくつもりだったようだが、そんなことはさせない」

後部座席には名波先生に預けてあったスーツケースや荷物がちゃっかり乗っていた。

「もう二度と美月のことを放さない。ずっと俺の隣にいろ。心から美月のことを愛している」

私の前に影が落ちる。そっと目を瞑ると甘くとろけるようなキスが唇に降ってきた。
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