復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?



「復讐はどう? 上手くいきそう?」


単刀直入な彼の言葉に、私は高値のみたらし団子を詰まらせそうになった。


《ゴホッゴホッ》


「っ!みずみず…!」


慌ててお水を渡されて飲むことを促される私は、まるで介護されているお婆ちゃんのよう。


「純連は本当にわかりやすい。この間のこと、気にしてる?」

「………」

「僕が復讐を止めたこと、まだ怒ってる?」

「ううん。」


小春日和。ほんのり吹く冷たい風を帳消しにするような暖かい日差しの下で私とそうちゃんは視線を交える。


「そうちゃんと気まずいのは嫌だ。昔みたいに仲良く話したい。」

「……うん。」


遠くで聞こえる人の話し声。甘く広がるみたらし団子の蜜の味。やわらかい、そうちゃんの視線。そして。


「僕は、昔みたいに純連に笑顔でいて欲しい」


涙が出そうなほど、ぬくもりを感じる言葉。


「……純連が幸せになる道を選んで欲しい。もう辛い想いは散々してきたから。だから純連には…幸せになる道を貪欲に進んでいって欲しい」

「………」

「今、純連は幸せ?」


自信持って『はい』と言えない生き方。自己犠牲を美徳としているような私の計画。


「………幸せ…じゃない…」


理想ってなんだろう。
家族と一緒に住んで、何気ないことで笑って。

そうだ。

昔みたいな。
家族全員が笑顔で過ごしていた昔みたいな。

あの日々が理想なのだとしたら、今の復讐は…。


どうでもよくなってきたや。


「……純連を幸せにしたい。」


一つのことでイライラするのも、熱くなるのも、悲しくなるのだって。


全部全部面倒くさい。


失ったものを数えて、新しく大切なものを手に入れようとするよりも…。


今あるものを大切にする方が、なんて簡単で楽で……。


魅力的なものだろうか。




「……純連…」




「僕と婚約してください」




首を縦に振れば、私は幸せになれる。

冷めた感じで生きる知恵がついた。

復讐は良い経験だったと割り切って前へと進みたいのに。




「……ごめん…」




脳裏に新がチラつくから、胸が苦しい。





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