第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
しかしそうではなかった。イルヴィスはそう言いながら、まっすぐにアリシアを見つめる。
「私は間違いなく、貴女自身に惹かれている。共に過ごす時間の長さに比例するように、想いが強まっていく」
「っ……!」
ずっと不思議だった。どうして彼は自分を見出したのか。
漫画のストーリーでは、“アリシア”は国一番とも称されるほどの才女で、その才能を見込まれていた。
しかし、実際のアリシアは、興味のあること以外ろくに勉強していなかったせいか、学園で目立った成績を残すこともなかった。
家柄だって、他の貴族に比べ特別高いわけでもない。彼の目に留まる理由がないのだ。
物語の強制力かもしれない。その疑いもなかなか晴れなかった。
「そうだったんですか……どうしよう、すごく嬉しい」
「……なんだ、改めて言うと気恥しいものがあるな」
「あの、でもごめんなさい。わたし、その当時のこと、やっぱりほとんど覚えていなくて」
「気にすることはない。昔を思い出すより、これから過ごす時間を大切にしてくれた方が良い」
「だけど、それでは少し寂しいです」
それはもちろん、これからの時の方が大切ではあるが、思い出だって共有できるに越したことはない。