第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II


 しかしそうではなかった。イルヴィスはそう言いながら、まっすぐにアリシアを見つめる。



「私は間違いなく、貴女自身に惹かれている。共に過ごす時間の長さに比例するように、想いが強まっていく」


「っ……!」



 ずっと不思議だった。どうして彼は自分を見出したのか。

 漫画のストーリーでは、“アリシア”は国一番とも称されるほどの才女で、その才能を見込まれていた。

 しかし、実際のアリシアは、興味のあること以外ろくに勉強していなかったせいか、学園で目立った成績を残すこともなかった。

 家柄だって、他の貴族に比べ特別高いわけでもない。彼の目に留まる理由がないのだ。

 物語の強制力かもしれない。その疑いもなかなか晴れなかった。



「そうだったんですか……どうしよう、すごく嬉しい」


「……なんだ、改めて言うと気恥しいものがあるな」


「あの、でもごめんなさい。わたし、その当時のこと、やっぱりほとんど覚えていなくて」


「気にすることはない。昔を思い出すより、これから過ごす時間を大切にしてくれた方が良い」


「だけど、それでは少し寂しいです」



 それはもちろん、これからの時の方が大切ではあるが、思い出だって共有できるに越したことはない。


< 242 / 243 >

この作品をシェア

pagetop