君を輝かせるのは私だけ。
謝ろうと顔をあげたら、

なんとも言えない複雑な顔で、

「…こんな若い知らない女のコーチの言うことは聞けません。」

そう言われる。

あ、結構ショックかもしれない。

いや、その通りで、

その感覚が正しいんだけど、

…そっか。

そっか、しか出てこない。

「…わかりました。私の言うことは聞かなくてもいい、でも、少しでも高いレベルを求めるなら、自分に成長を求めるなら、ここに電話ください。」

無理やり、連絡先を書いた紙を押しつけて、

一度深くお辞儀して、

「試合終わって、引退直後に…すみませんでした。いい試合を見せていただき感動しました。本当にお疲れ様でした。お話きいてくれてありがとうございました。」

そう言って、帰り道の方に歩き出す。

他に声をかけたい人はここにはいなかったから。

気が重い。

足取りが重い。

あーぁ、熱くなると暴走する癖、

だれか止めてくれないかなー。

ため息をなんとか堪えて、

専門学校へ足を運ぶ。

この後も授業だ。

早く…行かなきゃ。

重い心を引きずって、なんとか次に向かう。

女のコーチ。コネ。子供みたいな理由。

グルグルと頭を回るのはどれも正論だった…







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