君を輝かせるのは私だけ。

「じゃ、祐真は、木村くんよろしく!俺監督に挨拶してくるから。」

「は、え?」

健さんは笑って監督の元にいく。

呼ばれて俺の隣にいた彼は少し気まずそう。

「えーっと、とりあえず外で話す?」

周りの視線もうるさいし…

彼は小さく頷いて付いてくる。

外のアスファルトの階段に腰かけると、

少し間をあけて彼も腰かける。

「大人しいね。この前の君はどこいったの?」

俺の声に、横で肩が上がるのが目に入る。

「…すみませんでした。あの、蒼井さんって今…」

「これを作って郵送してって健さんが頼まれたんだって。」

あおの作ったノートを渡すと、

彼は受け取って中身をパラパラとめくって、

食い入る様にみる。

「これは…」

「あお特製のノート。…これがコネだと思う?自分と同じくらい女の子だからって下に見てた?」

俺の声にだんだんと小さくなる彼。

「すみません…自覚はあるんです、試合負けて、全国の試合見にいって、悔しさと焦りでイライラしてて、…言い訳にならないですけど…」

「でもそのあと君はあおが渡した連絡先に連絡しなかった。」

「…なんの実績も残してない俺が、全国に出てた人以上のプレイができると思わなくて…」

俺はため息をつく。

「その実績ってそんな必要?」

俺の言葉に彼は少し驚いて、

「同じ言葉言うんですね。」

そう呟いた。

あおも言ったのかな。

そういえばそんな感じのこと健さん言ってたかも。

「なんでもいいけど、俺は君が羨ましくて仕方ないよ。」

「え…」

彼は俺を見て固まる。

理解できないんだろう。
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