双子の貞子ちゃん 2
ソファにもたれ、無意識にさっきまであいつが座っていたところを眺めている。
どのくらいだろうか。
何を考える訳でもなく、ただぼうっとして一点を見つめていると、元気な話し声が聞こえてきた。
それは外からで、窓を開けてみて見るとより鮮明に声が聞こえてきた。
「だからっ!俺の方が好きだし!」
「はあ?俺の方がずっと前から好きなんだよ!」
「長さなんて関係ない!!愛は密度だ!!」
何を言い合っているんだと覗き込む。
少し前に見た、落ち込んだ背中は並んでなく、元気に言い合う2つの背中と、その隣で頬に手を当てながらそっぽを向く綺麗な髪のあいつ
近くにあった椅子を持って窓の側に置き、2人の、律と樹の会話を聞く。