双子の貞子ちゃん 2
そう言うと華織は手を伸ばし、視界を妨げている長い前髪を横に流した。
「ごめんなさい、伊織。…伊織を苦しめてごめんなさい。……伊織は悪くないのに、悪いのは、あの誘拐犯なのに…。」
涙を流す華織にどうしたらいいのか分からない。
「勝手に嫉妬してごめんなさい。」
「頭っ、上げて華織!」
「…伊織はこんなに優しい子なのに。……一緒に遊ぼうって誘ってくれただけなのに、大人しくしてる私を誘ってくれたのに…。」
ぽろぽろと涙をこぼす華織につられて、涙が込み上げる。
「小さい頃から素敵な女の子なんだよね、伊織は。」
「同じ土俵で戦っているのがおこがましいくらい。……いや、そもそも同じ土俵に立ってると思ってることがあり得ないの。」