カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
朝食の後片付けを終えたあと、出勤ついでに清良を駅まで送り届けた。
最寄り駅の裏手に車を停めると、彼女はふたりに向けてぺこりと頭を下げた。
「ここまで送ってくださってありがとうございました」
清良とともに後部座席に座っていた総司は、彼女の手の甲にキスを落とし甘く微笑む。
「気をつけて行ってこい。何かあれば連絡してくれ」
清良はどぎまぎしながらも「は、はい!」と勢いよく答える。
運転席の真鍋はバックミラー越しに清良に目を合わせ、今後の予定を告げた。
「東京のオフィスで仕事を済ませたあと、今夜にはまた日本を発つ予定です。次に帰ってくるのは、一カ月後になるかと」
清良は困ったように眉尻を下げ、でも笑って「……はい!」と頷く。
その笑顔が引きつっていることに気づいてしまった総司は、複雑な気分になる。
清良は、決して寂しいとは言わないだろう。そういう契約だ。だが、おそらく彼女は孤独を感じている。
わずかに芽生える罪悪感。
だが、家庭という重荷を背負いたくないがための愛のない契約結婚だ。迷いは彼女のためにもよくない。『妻』という仕事を、覚悟を持って引き受けてくれたのだから。