カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
仕事に専念せねば、そう自分に言い聞かせ、車を降りる清良を見送った。すぐさま「出してくれ」と真鍋に命じる。

その場に立ち止まり見送ってくれていた清良だが、その姿はあっという間に見えなくなった。

車は都心方面の大通りへ。これからふたりは城ケ崎ホールディングス本社ビルへと向かう予定だ。

「素敵な奥様でいらっしゃいましたね。お寝坊したくなる気持ちがよくわかりました」

しゃあしゃあと言い放つ真鍋に、総司は目を据わらせて睨みつける。

「お前に限ってそんなバカなことはしないと思うが――人の妻に手を出すなよ」

家での出来事を忘れたわけではない。総司がいない間に、清良に色目を使っていたことを。

「とんでもございません。雇用主の奥様に手を出すなど」

「お前が眼鏡を外すときは、やましいときしかないだろう」

「スープを作っていて曇ったから外しただけですよ」

白々しい言い訳だ。バックミラーから見える真鍋の目元は、ほんのり緩んでいる。

「奥様と仲がよろしいようで安心しました」

「新婚早々険悪になってたまるか」

「……すみません。ほんの少し、疑っていたもので」

「どういう意味だ」

ぴくりと肩眉を跳ね上げた総司に、真鍋は気遣いつつも、本音を漏らす。

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