カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「……周囲のプレッシャーや縁談の勧めに嫌気が指して、適当な女性と籍を入れたのではないかと」

「……ああ。適当だ。お前、『適当』の意味を知っているか?」

本来『適当』という言葉は『適切であること』、『相応しいこと』などの意味を持つ。

今でこそいい加減というニュアンスの強い言葉であるが、本来は、その場面に最も適した状態を示す言葉だ。

清良が最も『適当』な婚約者だったと、総司は自信を持っている。

「ええ。もちろん知っておりますとも。ですから、奥様のお傍にいた私に嫉妬してくださった総司さんを見て安心致しました」

「……嫉妬なんてしていない」

総司の弁解をするりと流し、真鍋はにこやかに答える。

「これでお父様にもよい報告ができます」

どうやら疑っていたのは父親のようだ。直接聞かれることはなかったが、頑なに結婚を拒んでいた息子がなぜ今になって……と不思議に思っていたのかもしれない。

あるいは清良を見て、そう感じたのか。確かに彼女は、絶世の美女というわけでもないし、特別な何かを持っているわけでもない、一見して価値のわからない女性だ。

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